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レキオファーマ、痔核治療薬を開発

琉球新報社:2003年04月09日

 

切除手術をせずに注射剤の投与で重症の内痔核(じかく)(イボ痔)疾患を治す治療薬を、医薬品開発のレキオファーマ(那覇市、奥キヌ子社長)が製薬会社の三菱ウェルファーマ(大阪市)と共同開発し、8日、県庁内で記者発表した。製造販売を担う予定の三菱ウェルファーマは3月28日に、厚生労働省に「ジオン」の名称で新医薬品としての製造承認を申請しており、認められ次第、医療機関向けに販売を開始する。
レキオファーマは、ベンチャー企業を支援する創造法の認定を県から受け、県産業振興公社も約7000万円を投資して事業化を支援。沖縄発の新薬申請は初めてといわれ、奥社長は「『ジオン』の認知、普及に全力を傾けたい」と話した。
日本人の3人に1人は痔疾患で、痔核はその過半数を占めるという。脱出などの重症になると切除手術しか手段はなく、1—3週間の入院が必要とされ、金銭的な負担も小さくない。
開発した治療薬は、麻酔を施したあと患部の4カ所に注射。局所への注射で痔核への血流を遮断し、無菌性の炎症を起こさせるなどして退縮させるメカニズム。
注射に要する時間は15分で、投与後の痛みもほとんどなく、日帰りもしくは1、2日の短期間の入院で済むという。
臨床試験の結果、「手術に匹敵する高い有効率」で痔核の消失、出血の抑制ができ、目立った副作用もなかったという。医薬品に一般的に使われている硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)が主成分。
治療薬は、中国の医師が開発した内痔核の効果療法剤を、添加剤の一部を変更して開発。中国以外の国での開発権のほか、日本や米国、ヨーロッパを含む13カ国で特許を取得しているという。
レキオファーマ社は1991年の設立。95年から三菱ウェルファーマが参画し、「ジオン」の共同開発を進めてきた。