仕事の余白

仕事の余白

奥キヌ子代表『仕事の余白』連載中! 第4回掲載日「「おとうり」口上に学ぶ」

琉球新報社:2008年1月13日

 

新年を寿(ことほぐ)ぐ正月には各家庭で賑やかに祝いの酒が振舞われたことだろう。「酒」の楽しみ方には異論もあろうが、昨年暮れに宮古名物の「おとうり」に参加させてもらった。「おとうり」は神事に由来するといわれ、祭祀(さいし)の際に神酒を回し飲みしたのが始まりという。
座のメンバーは年齢仕事肩書きなど様々である。座の親の口上の後、盃が回って行くのだが、その口上が実に良い。3分程の話に起承転結があり、ユーモアがある。
口上をリレーする際の仲間のエピソード紹介が温かい。誰もが臆(おく)することなく、さわやかに口上を述べる。長年の訓練によって培われたのだろう。貴重な教育資源だと感じた。
21世紀は表現力がますます必要となる。「おとうり」における口上は、まさに発表力とコミュニケーションツールにうってつけだ。家族や学校の楽しい集まりに、あるいは定期的にこの口上話法を取り入れてはどうだろう。もちろん媒体のお酒はマイクにでも替えて。
まず円座を組み話す場を作る。近況報告や目標、社会情勢など、あらかじめテーマを与えるのも良い。2分くらいで内容をまとめ発表する。座の仲間の話を聞く。言葉の持つ力は大きい。思考が整理され洞察が深まる。己の不足も知る。ユーモアや知識の交歓がコミュニケーションを深め、連帯感となる。和ができる。子どもたちが嬉々と話す笑顔が目に浮かぶようだ。