仕事の余白
仕事の余白
奥キヌ子代表『仕事の余白』連載中! 第5回掲載日「主婦とイノベーション」
琉球新報社:2008年2月10日
痔(じ)の治療薬「ジオン」の発売後、ポストジオンを模索してシーズ探しに奔走している時、たまたま松下電器元副社長の水野先生の言葉に触れた。
「イノベーションというのは、全く新たな発明発見をいうのではなく、既存の物を組み合わせることによって新しい便益を生むことである。20世紀最大の組み合わせ技術は宇宙旅行船であろう。驚くべき革新的な技術は何一つ含んでいない。革新的なものはその組み合わせだ」と。
医薬に門外であるため、開発や発見を大上段に構えていたが、余計な力が取れた。発想やひらめきを大事にして実現化せよということだろうと得心した。
ひらめきは決して荒唐無稽(こうとうむけい)なものではなく、身近な生活の中にある。洗濯用の糸くず取り「クリーニングボール」は主婦の発明で有名だが、網ネットとゴムボールの組み合わせだ。
まさに身近な既存の物が組み合わせによって新しい機能を生み出した。ちょっと不便だなあと感じたら使い勝手など何か工夫はないかと考える。目的意識を持ち、感性を磨くことでアイデアが生まれる。古代からの生活者の知恵だ。
主婦にはその力と可能性があると感じる。起業のチャンスも大きい。21世紀の革新的な組み合わせを見いだし、発明王になるのはあなたかもしれない。