クルクミン研究室
クルクミン研究室
このページでは学術情報を、できるだけわかりやすく読めるように努めました。
その他研究室のページの更新に合わせて随時更新していきます。(更新日時:2025年6月11日)
クルクミンとは?
クルクミンはウコンに含まれるポリフェノールの一種で、健康に良い影響を持つ成分として研究されています。クルクミンには、デメトキシクルクミンやビスデメトキシクルクミンといった類似の化合物があり、これらをまとめて「クルクミノイド」と呼びます。
ウコンの種類によってクルクミンの含有量が異なるため、サプリメントや健康食品の品質管理には含有量などの分析・確認の有無がとても重要です。
ウコンの種類とクルクミンの含有量
ウコンには、秋ウコン・春ウコン(キョウオウ)・紫ウコン(ガジュツ)などの種類があります。それぞれの種類によって含まれるクルクミンの量が異なります。
クルクミンは、ウコン(ターメリック、学名:Curcuma longa)から抽出・精製され「ウコンエキス末」などの表記で利用されています。クルクミンは食品用の天然色素としても利用されるほど鮮やかな黄色を持ちます。
クルクミンの解説動画
認知症の早期発見、予防治療研究会主催セミナー<田平武先生(順天堂大学大学院客員教授)>
クルクミンの吸収率について
どれほど体に良い栄養素でも、適切に吸収され、身体の必要な部分に届かなければ、その効果を十分に得ることはできません。
クルクミンは吸収率が非常に低いことが分かっており、ウコンの粉末を水で飲んでも、ほとんど体内に取り込まれないことが研究で確認されています。
「クルクミンは効果がない」とされる情報の多くは、この吸収率の低さに起因しています。
クルクミンは脂溶性であり、油(脂)に溶ける性質を持っていて、水には溶けにくく、体内での吸収が難しいとされています。各研究機関や民間企業では、クルクミンの吸収率を向上させるため、以下のような工夫を取り入れている企業もあります。
・クルクミンを油に溶かす
・クルクミンをナノ粒子化(微細化)する
・クルクミンをリポソーム化する(脂質の膜で包む)
・ピペリン(黒胡椒の成分)を加える
レキオファーマ株式会社ではクルクミンをスクワレン(深海鮫の肝油)に溶かすことで、小腸管内での安定性と吸収を促進させ、さらにピペリン(黒胡椒の成分)を配合することで、小腸内での代謝を阻害して吸収率を大幅に改善しています(特許第4012894号)。
クルクミンの吸収に関する詳しい説明は 「クルクミンの吸収のメカニズム」(ページジャンプします)をご覧ください スクワレン(さめ油)・ピペリン(黒胡椒)配合に関する詳しい説明は |
クルクミンの効能効果
クルクミンは、以下のような作用を持つことが実験で確認されています。
・アルコール分解促進(胆汁分泌作用)
・デトックス作用(体内のグルタチオン生成を増やす)
・肝機能の向上
・鎮痛作用
・血圧を下げる作用
・コレステロールを分解する作用
・胃腸の調子を整える作用
・抗がん作用
・抗うつ作用
・抗菌作用
特にクルクミンの抗炎症作用や抗酸化作用については、多くの病気や症状の改善につながる可能性が期待されており、さらなる研究が進められています。
クルクミンと認知症
近年の研究では、クルクミンがアルツハイマー病の原因とされる「アミロイドβ(Aβ)」というタンパク質の凝集を抑制し、分解を促進することが報告されています。これにより、脳の神経細胞を守る働きが期待されています。
また、パーキンソン病やレビー小体型認知症に関連する「α-シヌクレイン」というタンパク質の凝集を抑える作用も研究されています。
レビー小体型認知症とαシヌクレインについてレビー小体型認知症は、脳の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なかたまりができることで起こる認知症です。このレビー小体の主な成分が「αシヌクレイン」というたんぱく質です。レビー小体が脳の大事な部分にたまると、神経細胞が壊れて減ってしまい、うまく情報を伝えられなくなるため、認知症の症状が出てきます。 レビー小体は、脳の大脳皮質や脳幹に集まります。大脳皮質は、物事を考えたり判断したりするときに使う重要な場所です。脳幹は、呼吸や血液の流れなど、生きていくうえで必要な働きをコントロールしています。 レビー小体型認知症の特徴的な症状には、以下のようなものがあります: ・実際にはないものが見える「幻視」 ・妄想 ・睡眠中に大声を出したり、手足を激しく動かしたりする ・転びやすくなったり、気を失ったりする ・手足がこわばったり、ふるえたりする(パーキンソン病に似た症状) ・表情が乏しくなる レビー小体型認知症とパーキンソン病は、もともとは同じ「レビー小体病」というグループに入る病気です。違いは、レビー小体が脳のどの場所に多くたまっているかによって分けられます。レビー小体が脳幹に多いとパーキンソン病に、脳全体に広がるとレビー小体型認知症に近い症状が出やすくなります。 ただし、これらは亡くなった後に脳を顕微鏡で調べることで詳しくわかるもので、生きている間に完全に区別するのは難しいのが現状です。 |
クルクミン の安全性・副作用について
1. 一般的な安全性
クルクミンは、通常の食事で摂取する分には安全とされています。しかし、高用量や長期間の摂取は、消化不良や下痢、吐き気などの消化器系の不調を引き起こす可能性が報告されています。
2. 高用量摂取に関する研究
ある研究では、1日あたり最大12,000mgのクルクミンを摂取した場合、30%の人に下痢や頭痛、発疹などの軽度の副作用が見られましたが、摂取量との関連性は確認されませんでした。
がん患者を対象とした臨床試験では、1日8,000mgのクルクミンを3ヶ月間摂取しても安全性に問題はありませんでした。
3. 特殊な事例
乾癬の患者にクルクミンを摂取させたところ、3名で症状が悪化したとの報告があります。
また、ある男性がクルクミン含有のサプリメントを過剰に摂取した結果、心臓の伝導異常(完全房室ブロック)を発症した事例も報告されています。
4. 半数致死量と安全基準
動物実験では、クルクミンの毒性を示す半数致死量(LD50)は2,000mg/kg以上とされ、比較的低い毒性とされています。 国際的な基準では、1日の摂取許容量(ADI)は体重1kgあたり0〜3mgと設定されています。
5. ウコンを摂取したことによる副作用
肝硬変で病院を受診していた患者が、デパートで購入した粉末のウコンを毎日スプーン1杯飲み始めたところ、約2週間後に症状が悪化。入院となったが、腹水がたまり約3カ月後に死亡した例があります。
クルクミンは肝機能を改善した報告がありますが、ウコンにはクルクミン以外の成分も含まれています。この例では粉末のウコン製品に多量の鉄分が含まれていたことが原因で、肝臓に負担をかけていた結果だったと考えられています。
ウコンから抽出されたクルクミンはほとんど鉄分を含みません。しかし、肝疾患のある方や食事制限のある方は、どのような製品であっても、サプリメントを摂取する前に必ず医師や薬剤師に相談してください。
⚠️クルクミンを活用する際の注意点
・過剰摂取に注意:各製品の指示に従い、過剰摂取を避けてください。
・通院されている方:薬を服用中の方は、医師や薬剤師と相談することをおすすめします。
クルクミンは健康維持に役立つ可能性がありますが、使用方法や摂取量には十分注意し、体調を確認しながら摂取してください。