仕事の余白

仕事の余白

奥キヌ子代表『仕事の余白』連載中! 第6回掲載日「沖縄の役割」

琉球新報社:2008年3月9日

 

ひところ留学といえば米国留学が花形だった。時代は進み、世界の人的交流は驚異的で、2007年の留学生市場は200万人を数えた。そのうち日本の受け入れ留学生は12万人。大半は中国や韓国、タイ、シンガポール等アジア諸国からの留学生だ。

 

国は、将来的にも世界の留学生の5%程度の受け入れを目標としている。そこで提案だが、日本受け入れを2ステップ制にし、ホームベースとしてまず沖縄へ留学してもらうのはどうだろう。
沖縄はアジア諸国に近く「結」の精神を持ち、懐の深い温かな県民性だ。留学先がいきなり東京や大阪などの大都会では、疎外感を覚えるケースも多いと聞く。

 

10年ほど前、中国から趙君という学生が県内の大学に留学してきた。優秀な彼はその後、一橋大の大学院に進学したのだが、その彼が「沖縄での2年間の生活があったから、東京の真ん中でも頑張れた」と言った。
アジアの留学生は、母国でも将来を託すべき優秀な人材が多い。彼らが挫折せず勉学に励み、親日感情を育て、ひいては国交の一助となることも留学のひとつの意義だ。

 

沖縄が担える役割は大きいと考える。さらに、留学後の就職や結婚、国籍取得等の窓口も広げてほしいと願う。外国人の就職は国策として規制が多いが、多様な価値観や感性はお互いの切磋琢磨(せっさたくま)となり、新しい産業やビジネスを生むに違いない。