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代表のコラムが日経新聞に掲載されました

「交遊抄」 

負担ない治療 奥キヌ子

 土屋周二先生に初めてお目にかかったのは1989年、中国の医薬品「消痔霊」の開発者を招くために日本大腸肛門病学会総会への参加許可をお願いに伺った時のことだ。先生は外科医の尊敬を集める大腸肛門病領域の権威。私は当時それを知らず、沖縄の無名の会社からの突然のお願いに驚かれたはずだが、快く了承していただいた。
 以来、多くの助言を仰ぎ、医薬品開発にほとんど無知だった私たちを指導してくださった。とりわけ「内痔核(ないじかく)は良性の疾患だから、体の負担が少ない治療が理想です」というアドバイスは励みになった。負担の少ない薬が理想だった私は「製薬を沖縄の産業にしたい」という思いを一層強く持った。
 その後、日中の学術交流学会が中国で開催されるたびにお供をした。山東省の孔子の故郷、曲阜、泰山、雲南、チベットなどに同行した折には、専門外の中国の歴史や地理の話も伺った。
 少年のように好奇心旺盛で冒険心に富む姿も拝見した。北京郊外の承徳ではサソリを焼いた料理を、広州ではヘビ料理もご一緒した。奥様も同行されたチベットでは一行が高山病にあえぐ中、先生お一人が飄々(ひょうひょう)となさっていたことも懐かしく思い出す。5年前に米寿をお迎えになった。末永いご活躍を祈念申し上げます。
日本経済新聞 2017年11月22日(水) 文化面(40面)